第112回(1997年4月分)「ペルー人質事件と危機管理」
2013.06.18
今月の一番の話題は、何といってもペルー日本大使館の人質事件が、強行突入により解決したということでしょう。事件発生以来、126日間もの長い間の人質の方々と家族・関係者の方々の肉体的・精神的苦痛は、想像を絶するに値します。用意周到な強行突入作戦を絶妙のタイミングで実施したフジモリ大統領の国際的な評価が上がることでしょう。犯人側が、全員死亡したことは、人質テロの卑劣さを考えると当然と割り切ることもできます。しかし、3人の犠牲者の事を思うと、やはり心が重くなります。
もしこれが日本で起こったら、多分人命尊重の美名の下で、犯人の要求を全て聞いて言われるがままにしていたはずです。この事件は、日本の社会全体の危機管理の甘さと、事件解決の為には、人命尊重のお題目を唱えるだけではダメだということを示唆しています。人命尊重を貫くには、徹底した事件予防対策が機能していなくてはなりません。
これから色々な議論が湧き起こり、国民がそれに関心をもつことになればいいなぁと思っています。