第102回(1996年6月分)「梅雨と水」
2013.06.04
梅雨に関しての一言を書きます。例年になく5月は、雨が少なかったということです。その分、この梅雨で補って丁度良い状況になります。日本は、アジアモンスーン(季節風)地帯の東端にあって、世界でも有数の多雨地帯にあります。現在では、水害の被害こそあれ干害の被害はまれです。テレビ等で、アフリカの人達が水を汲むために何時間も水場まで歩いていく姿や、汲んだ水が泥水のように濁っているのを見ると、日本のきれいな水しか知らない私達には、とても耐え切れない気さえします。本当に日本という水資源に恵まれた国に生活しているありがたさを感じます。
しかし、ちょっと昔の日本を振り返ってみれば、干害との戦いの歴史です。奈良盆地の多くの溜池は、稲作に不可欠な水の確保の為のものです。全国各地に作られた多目的ダムは大雨の時に、水が一気に流れて水害をもたらすのを防ぎ、逆に利用されずに無駄に海へ流れてしまう水を有効に利用するために作られています。
自然のままでは、いかに世界の多雨地帯とは言っても、人間の生活を平穏に送ることができる程、自然は甘くないと言えます。私達の祖先は、その自然との戦いと調和を営々と繰り返してきました。その結果、私達は水について日常苦労することは、皆無です。それよりも、何と贅沢に水を消費していることでしょうか?雨が多くて「イヤだなぁ」と思っている時期に「水を大切に」といってもピンときませんが…。雨は「イヤだなぁ」という気持ちから、雨も水不足にならないように必要なものだから、「しかたないか」という気持ちに少しは和らぐ話になったでしょうか?