第101回(1996年5月分)「プロセスに注目」

2013.06.03

私が担当した2点の印刷物についてその仕事の進め方について気づいたことを述べます。一つは、昨年10月号で紹介した剣道の先生の本(剣聖島谷八十八(やそはち)先生の伝記)です。これは、Mさんという85歳になられる直弟子が殆ど一人で、資料を集めて編集出版にまでこぎつけました。内容は、漢字も表現方法も難解です。スラスラ読める人はいないと心配しますが、先生の50回忌になんとか出版したいという熱意に私も強く感動し、精一杯、本の構成・編集及び校正作業の面で協力しました。一人の必死の努力が他の人を動かし、出版まで何とかこぎつけることができました。

もう一つは、私の所属するロータリークラブの5周年の記念誌です。これは時間も人材も豊富であったのですが、私の会社の仕事が超多忙という理由で、土壇場に形だけの本を短期間に印刷製本しました。ロータリークラブというような任意の奉仕団体では、本職でない人同士が記念誌を編集するという作業を通じてお互いの理解と親睦を深め、クラブ全体にみんなの力でやる5周年事業という形にしなければならなかったのですが…。ついつい私がやれば早くできる、他の人達も「中西に任せば、楽(らく)」という悪いパターンにはまってしまいました。

二つの仕事の共通点は、一人が特に頑張ったという点では共通しています。しかし、前者は一人の頑張りが不可欠であり、後者は一人の頑張りが不必要であったということです。仕事は結果も過程(手順・プロセス)も両方大切ということを痛感しました。

私は、ややもすると結果のみで全体を評価しますが、過程にこそ学ぶべき点、糾(ただ)すべき点があることにもっと気を配らねばならないと感じました。

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